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業界動向

【Web広告運用代行編】生成AIは何を情報源にして「おすすめ」を答えるのか?

村上悠希 /Studio株式会社 マーケティング・事業開発 マネージャー

「おすすめのWeb広告運用代行会社は?」と生成AIに尋ねると、AIはどこかのWebページを引用して答えを組み立てます。本稿は、その引用元をWeb広告運用代行カテゴリに絞って集計したレポートです。これまでのメール配信システム編MAツール編はSaaSツールが対象でしたが、今回は「サービス(代行)」カテゴリでの引用構造を見ていきます。

調査概要

項目内容
対象AIモデルChatGPT / Gemini / Perplexity / Google AI Overviews
カテゴリWeb広告運用代行
プロンプト数72問(購買意図6タイプ × 各12問)
観測引用数1,419件(ユニークドメイン259件、計測期間内の累積)
推薦対象ブランド14社(同じ条件で比較)

総合ドメインランキング TOP15

#ドメインタイプ引用数出現率
1google.comGoogle公式14411%
2medix-inc.co.jp(メディックス)代行会社公式5525%
3stock-sun.com代行会社公式5425%
4cone-c-slide.com代行会社公式5123%
5aspicjapan.org(アスピック)比較メディア4822%
6plan-b.co.jp代行会社公式4722%
7pascaljp.com代行会社公式4420%
8mieru-ca.com代行会社公式3818%
9d2cr.co.jp代行会社公式3617%
10meisterstudio.jp代行会社公式3416%
11allis-co.com代行会社公式3014%
12digitalidentity.co.jp代行会社公式2713%
13geo-code.co.jp代行会社公式2713%
14grill.co.jp代行会社公式2512%
15media-radar.jp代行会社公式2512%

最も特徴的なのは、1位が google.com である点です。AIは広告の仕組みや出稿方法を説明するとき、Google自身のヘルプ・ドキュメントを多く引用します。2位以下はほぼすべて代行会社の公式サイトで、比較メディアは5位のアスピックがようやく顔を出す程度でした。

ドメインタイプ別の引用シェア

タイプ引用数シェア
代行会社・ベンダー公式1,19384.1%
Google公式・その他14510.2%
比較メディア614.3%
レビュー・その他201.4%

第三者メディア(比較+レビュー)は合わせても約4.4%にとどまり、3カテゴリのなかで最も低い水準です。引用元の構造を並べると、第三者メディアの比率には明確な差がありました。

  • メール配信システム:約20.5%
  • MAツール:約11.6%
  • Web広告運用代行:約4.4%

SaaSツールのように「製品が一覧・比較しやすい」カテゴリでは比較メディアが引用されやすく、サービス(代行)のように形が一社ごとに違うカテゴリでは、AIは各社の公式サイトとプラットフォーム提供元(Google)に直接当たる傾向が読み取れます。

記事型のマーケティングメディアは、ほとんど引用されない

今回の調査ではっきりしたのが、LISKULやferret、MarkeZineといった記事型メディアが、ほぼ引用されないという事実です。

メディアWeb広告での順位
LISKUL(liskul.com199位(1件)
MarkeZine203位(1件)
ferret / Web担当者Forum登場なし

Web広告はこれらのメディアが得意とするテーマですが、それでもAIの引用源にはなっていません。AIが引用するのは、製品やサービスが一覧・スコア化された比較データベース型のサイトと、各社の公式サイトです。読者に人気の媒体であることと、AIに引用されることは、別の話だと分かります。

ブランド推薦ランキング TOP10

#会社推薦率
1サイバーエージェント25.5%
2メディックス21.3%
3アナグラム19.4%
4グラッドキューブ17.6%
5フルスピード13.9%
6セプテーニ13.0%
7電通デジタル13.0%
8キーワードマーケティング9.7%
9デジタルアイデンティティ4.6%
10ユニアド4.6%

SaaSツールに比べると推薦率は全体的に低めです。代行サービスは製品名のように一意な呼ばれ方をしにくく、AIも「会社名を挙げる」より「条件に合う会社を説明する」答え方をしやすいことが背景にあると考えられます。

AIモデルごとに異なる引用元

順位ChatGPTGeminiPerplexity
1google.comstock-sun.comcone-c-slide.com
2cyberagent.co.jpmedix-inc.co.jpaspicjapan.org
3tribalmedia.co.jppascaljp.commedix-inc.co.jp
4adways.netmeisterstudio.jpmieru-ca.com
5cyberhorn.co.jpplan-b.co.jpplan-b.co.jp

ChatGPTはGoogle公式と大手代理店(サイバーエージェント等)を引きやすく、Geminiは中堅代行会社の公式サイトを並べます。Perplexityはここでも比較メディアのアスピックを上位に引く点が特徴的でした。

広告主・代行会社への示唆

  1. 自社(代行会社)の公式サイトが、AI引用のほぼすべての土台になる:実績・対応領域・料金体系・得意な媒体を、AIが読み取りやすい構造で明記します。
  2. 記事型メディアへの寄稿より、公式サイトと比較データベースを優先する:LISKUL等の記事掲載は、AI引用の観点では効果が見込みにくい結果でした。
  3. 比較メディアではアスピックを押さえる:代行カテゴリで唯一、一定の引用がありました。
  4. Google自身のページが競合になる:「やり方」「仕組み」を尋ねる質問では、AIはGoogle公式を引きます。ノウハウ記事で勝つより、自社の強みと実績で引用される設計が現実的です。

方法論と限界

  • サンプル規模:72プロンプト(6意図×12問)です。順位の絶対値よりも、タイプ構成・モデル間差・カテゴリ間差の傾向を読むことをおすすめします。
  • 推薦ランキングの範囲:登録した14社の相対比較であり、網羅的な全社シェアではありません。
  • AI Overviewsの扱い:全体の引用集計には含めていますが、ChatGPT / Gemini / Perplexity のように1モデルとして単独の内訳には分けていません。AI Overviews は Google 検索結果上に表示される回答機能で、計測上、独立したモデルとして切り出すのが難しいためです。
  • タイプ分類:各ドメインを「代行会社・ベンダー公式 / Google公式・その他 / 比較メディア / レビュー・その他」に自動分類した後、日本市場の文脈に合わせて手動で補正しています(例:アスピックを「比較メディア」など、自動分類で取りこぼしや誤分類が起きやすい媒体を補正)。
  • 回答の揺らぎ:AIの回答は同じ質問でも都度変動するため、各購買意図カテゴリにつき言い回しの違う 12 問を投げ、揺らぎをならして平均的な傾向を捉えることを狙っています。固定したプロンプト集合での、競合との相対的な観測値として読んでください。

本稿は、AI検索における引用元の構造を領域横断で可視化するシリーズの第3弾(Web広告運用代行編)です。次回以降も領域を広げ、カテゴリ横断の統合ランキングへと発展させます。

よくある質問

生成AIはWeb広告運用代行の質問で何を引用していますか?

引用の約84%が代行会社の公式サイトで、Google自身のページが約1割を占めました。比較メディアは約4%、記事型のマーケティングメディアはほとんど引用されませんでした。

LISKULやferretのようなマーケメディアは引用されますか?

ほとんど引用されません。本丸であるはずのWeb広告カテゴリでも、LISKULは199位(1件)でした。AIは記事型メディアよりも、各社の公式サイトや比較データベース型のサイトを引用する傾向があります。

執筆者

Studio株式会社 マーケティング・事業開発 マネージャー

村上悠希

BtoB SaaS企業のマーケティング全般と事業開発を統括。Web広告・SEO/AEO・CRMなどのオンライン施策、セミナー・カンファレンス・展示会などのオフライン施策を一貫して管掌しつつ、パートナーアライアンスや新規事業開発も兼任。

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